勇者(親友)の隣に立つ偽物の君へ
空-kuu-世界は、完璧な役割を愛する。そして、俺の歪んだ感情をバグと定義した。 俺――イオス・リンドバーグ(本物)は、勇者リアス・オルブライトの親友という役割を担っていた。だが、世界から存在そのものを消された。俺の代わりに、システムによって感情も記憶も完璧に再現された偽物が立てられ、リアスの隣で理想的な物語を歩み続けている。 光の届かない場所から、俺は監視する。リアスが偽物に笑いかけるたび、俺の心は、憎悪と、それでも彼に嫌われたくないという矛盾した渇望に焼かれる。 だが、その矛盾した感情こそが、システムが設計した完全な世界にとっての、唯一の異物だったのだ。 観測者だった男が、自らのバグたる感情を武器に変え、世界を支配する役割の論理に戦いを挑む物語。 偽物を排除し、親友の魂を取り戻す旅路は、やがて世界の深奥に潜む、システムの真の正体へと辿り着く。 俺が望むのは、勇者の物語ではない。リアスが、俺という異物を愛し、憎む。その、誰にも邪魔されない、真実の感情だけだ。 システムよ。お前が定めた法則を、俺のこの感情で一つ残らず上書きし直してやる。
1.8万字
2026年5月22日 05:53更新全2章更新日:2026年5月22日 05:53
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